第71章 繋がる日
エルヴィンの自室に入るなり、
唐突に勢いよく抱きしめられる。
エルヴィンの手荷物が床に落ちる音も、
いつもならすぐに片付けたくなるような
散らかった部屋も、
なおざりに出来るくらいに、
エルヴィンの体温で心地よく満たされる。
逞しい身躯に包み込まれ、
密着することを喜んでいるかのように、
自分の全身から
熱が湧き出してくるのを感じた。
「ずっとこうしたかった……」
「……うん。」
「今日はもう絶対君を離さないし、
帰すつもりもないが、問題ないか?」
「勿論。そのつもりで来たからね。」
すぐに返答すると、
優しい笑顔が零れ落ちてくる。
「エルヴィンも意図しなくても
“可愛い顔”してるからね。」
「……どんな顔だ?」
「堪らなく抱きしめたくなる顔。」
「それなら遠慮なく抱きしめてくれ。」
一度私から身体を離し、
手を広げて待ち構えるエルヴィンに
飛びつくように抱きかかる。
かなり勢いを付けて抱き着いたのに、
エルヴィンはまるで揺らぐことはなく、
そのまま強く受け止められ、
また穏やかな体温が戻ってきた。