第71章 繋がる日
モブリットの後姿を見送った後、
手に暖かさを感じ、視線を落とす。
「……エルヴィン?」
「君とモブリットが
仲良くしていたから妬いたよ。
俺も君に触れていたい。」
握られた手はますます強く、
いやらしく絡んでくる。
「このまま基地に帰りたい。」
「いや、さすがにそれは
誰かに見られるとマズイから無理だよ。」
団長と秘書が手を繋いで帰ってきたら、
それこそ好奇の目に晒され、
きっとまた噂が立ってしまうだろう。
それでもエルヴィンは
手を離す兆しが見られず、
そっと顔を覗き込んだ。
「そんな寂しそうな顔、しないでよ……」
「……俺はそんな顔をしていたのか?」
ふと我に返ったように
頬を緩ませるエルヴィンの手を
強く握り返す。
「このまま帰るのは無理だけど……
部屋に戻ったらずっと繋いでいようね。」
「そうだな……ありがとう。」
どこか愁いを帯びた瞳を見つめながら、
そっと手を離し、
並んで基地に向かって歩き出した。