第69章 明かされていくエニグマ
「……え、質問いいですか?」
話が落ち着いてきたところで、
ジャンが控えめに手を挙げる。
「なんじゃ、訓練兵。」
「えっと……、と言うことは、
凛はいつか元の世界に戻る……
ってことですか?」
「いや、私は戻る気はないよ。」
「そうなのか?」
そう問いかけて来たのはピクシスだった。
「あの男も、元の世界には戻りたくない、
と言っておったが……」
ピクシスは鼻の下の髭を摩り、
少し考え込む姿を見せるが、
すぐにまた口を開いた。
「ここで生活を続けることはできない、
そうも言っておった。」
「……どういうことですか?」
「詳しいことは分からん。
だが、戻らねばならん理由がある、
そんな口ぶりだった。」
「……何でだろう。」
その理由を考えてみる。
……が、
そんなに簡単に思いつくものでもない。
このことについては一度持ち帰って、
ゆっくり考えるしかなさそうだ。