第69章 明かされていくエニグマ
それからピクシスに教えて貰った
男性の情報は、悉く曾祖父と一致する。
勿論、名前も曾祖父と同じだった。
「あの男は、ここは居心地がいい、
と言っておってな。」
ピクシスは少しの間を置いた後、
再び口を開く。
「“人も土地も、多すぎれば争いが起きる
争いが起きれば大切な人を失くす
大切な人を失くせば憎しみが生まれる
憎しみが生まれれば、また争いが起きる”」
……その言葉は、当時のワシにとって、
かなり衝撃的だったんじゃ。
そう言って小さく息を吐いた。
「君の住んでいる世界がそうなのか?」
「……はい。
この世界のように壁はありません。
勿論、巨人も存在しません。
それに、ここより格段に豊かで
便利な生活があります。
……ですが、争いは常に、
あちこちで起きています。」
「……なるほどな。」
ピクシスの表情からは陰りが窺えた。