第69章 明かされていくエニグマ
「これからどうする?
まだ手掛かり探してみる?」
「そうだなぁ……」
ジャンに問いかけられ、
悩ましい声が零れ落ちた時。
「おお。凛じゃないか。」
と、大好きな懐かしい声を耳にし、
すぐに声の元に視線を向けた。
「ピクシス司令!お疲れさまです。」
この顔を見るだけで、安心感が込み上げて来て、
思わず頬が緩んでしまう。
敬礼しているモブリットとジャンを横目に、
小走りでピクシスの元へ駆け寄った。
「この間は、お酒、ありがとうございました。
すごく美味しかったです。」
調査中に憲兵団で仕事を手伝っている時、
会議前にピクシス司令に会い、
その時に軽い談笑をして、そのついでのように
こっそりシャルトリューズヴェールの
リキュールを頂いていた。
「いや、いいんだ。
ワシは甘い酒は好かんからな。
君に飲んでもらえて良かったよ。」
目を細くして笑みを溢す姿が
本当におじいちゃんそっくりで、
抱き着きたくなる程の親近感が湧き出して来る。