第9章 お礼の方法
今必死で抵抗したとしても、
ここまで来てしまった時点で
もう無駄かもしれない。
でも何もせずに初対面の男性相手に、
身体を許すわけにはいかない。
そりゃ、今まで散々そんなこともしてきたけど、
この世界では“まともに”
生きようと思ってるんだ……
「……もっと他の“お礼”させてくれる?」
「他のお礼?
お前、身体以外で払えるもんあるの?」
すかさず問い返され、口を噤む。
身体以外で払えるもの……
まるで思いつかないけど、
出来ることなら身体では払いたくない。
別のお礼の仕方を考えようと、
脳内をフル回転させながら彼を見つめると、
「別に処女でもねぇだろうし、
これくらいいいだろ?」
そう言った彼の顔が再びグッと近づく。
その時、あることを思いつき、
「……処女だったらしないの?」
と、問い返してみた。
私の問いが予想外だったようで、
彼は口を閉ざす。