第9章 お礼の方法
「……待った。これ、デートじゃないよね?」
「これもデートの一環だろ。」
焦りを滲ませた声色で問いかけてみるが、
平然とした様子で返答され、言葉を失う。
彼に連れてこられた先は、
古びたホテルの一室だった。
ここまでノコノコと付いて来てしまった自分にも
問題があることは確かだけど、
“お礼のデート”という名目で
ホテルに連れ込む彼の神経を疑う。
第一、かなり若そうに見えるのに、
自然な態度でこんな場所に
女を連れ込むことができるのはどうなんだ?
この世界の男性は、
本当にエルヴィンやリヴァイのように
女慣れしてる人ばかりってことか?
頭の中は疑問符でいっぱいになりつつも、
冷静にこの状況の打開策を考えようと
軽く目を瞑る。