第65章 眠れない夜は
「……ねぇ。今日も添い寝だけの日?」
ベッドへ寝転び、先に寝転んでいた凛に
布団を掛けていると、
如何にも不服そうな声を出してくる凛から、
鋭い視線を浴びる。
「……不満なのか?」
「モブリット、
実はもうしたくない、とか?」
「そんな訳ないだろう……」
「それなら何で?
明日も朝早い訳じゃないし。」
「……凛は?
本当に俺としたいと思ってる?」
「思ってる。」
想像を絶する速さの返答に、
案の定耳元が熱を帯びる。
「今日君がいつも以上に
心身共に疲労しきってることは分かってるんだ。
少しでも早く休ませてあげたい。」
「……どういうこと?」
「戦死した兵士の遺族に会いに、
故郷まで付いて行ったんだろう?」
そう問いかけた途端、
さっきまでの返答の速さが嘘のように、
凛は口を噤んだ。