第60章 詰問、詰問、からの証拠
「何故そう思うのかは分からないが、
特に大した理由はないよ。
一度も二度も変わらないことに
最近気付いただけだ。」
「それがおかしいって言ってんだろ。
もうどんな気持ちも
揺らがない自信があるから、
同じ女を接待できるように
なったんじゃねぇのか?」
「……もしそうなら、
その“好きな女”しか抱かないのが
普通なんじゃないのか?」
エルヴィンのため息交じりの問いは、
憂いを帯びていた。
もう好きな女以外抱きたくない、
だが、そうする訳にはいかない、
とでも言いたげな口調だった。
「それが普通でも、
お前はそうは出来ないだろ……
ここの調査費が全く足りてないことくらい、
別兵団の俺にだって容易に分かる。」
「それなら憲兵団の資金を半分ほど
こっちに流してくれればいいだろう。」
「無茶な事ばかり言うな。
こっちも色々金がかかるんだよ。」
無駄金が殆どだが、
それはエルヴィンも承知の事実だろう。
その無駄金のお蔭で、
憲兵団は権威を保てている。