第2章 モブリットの疑問
真剣な表情で分厚い教科書を
逆さまにして読みながら、
ノートにペンを奔らせる凛を、
モブリットは静かに見つめる。
凛さんがこうして教科書を読む光景も
ようやく見慣れた。
初め、彼女が絵本を
逆さまにして読みだした時は、
もしかして少しおかしい人なのか……?
と不安になったが、この世界の文字と
凛さんのいた世界の文字には、
どうやら共通点があったらしい。
彼女の世界の“カタカナ”という文字が、
この世界の文字を
逆さにした文字だったようだ。
そのことを発見したのは、団長たちが
タイムスリップしていた間だったようで、
それに気付いた時は酷く感動した、
と、興奮した様子で教えてくれた。
凛さんのいた世界に、
俺たちのいた歴史は
記されていなかったようだが、
話す言語も同じ上に
文字にまで共通点があるとなると、
それがただの偶然だとは思い難かった。