第55章 流れるように自然な誘惑
その時。
「凛。少し積極性が過ぎるな。」
と、ため息交じりの声が聞こえ、
モブリットの素早い起立と同時に
ドアの方に視線を向ける。
「エルヴィン。お疲れさま。」
「団長……お、お疲れさまです。」
このタイミングで来るとは……
と、若干の気まずさを感じつつ
エルヴィンに視線を向けると、
想像通りの呆れた表情をしていた。
「二人とも疲れているだろうと思って
今日は早く切り上げる様に言いに来たが、
執務室でこんなに楽しそうな
状況になっているとは思わなかったよ。」
「……すみません……」
「モブリット。君は仕掛けられた方だろう?
そんなにすぐ
加害者になろうとするのはやめなさい。」
エルヴィンはモブリットの肩を叩いてすぐ、
凛の顎元を掴み、引き寄せる。
「……仕事中に悪戯をする団員には、
それなりの仕置きが必要だな。」
既に淫猥さを帯びた碧い瞳に見入られ、
図らずも下半身が重く反応した。