第54章 ●視姦と焦燥感と安心感と
これ以上ないくらい綺麗に八つに割れ、
鍛錬しつくした見事な腹筋の割れ目に沿って
あからさまにゆっくり指先を這わせる。
もうここまで来ると、
ゴシゴシ洗う気なんて起きない。
リヴァイの身体を舐め回すように、
指先だけを移動させ、
素直に反応を続ける膨らんだものを眺めていた。
「……なんだ。焦らしてぇのか?」
「ほんと、もうこれ、
何かの生き物みたいだよね。」
問いとは全く違う回答をすると、
リヴァイの吹き出した息が
耳元の空気を震わせる。
「そうだ。
最近は全く言うことをきかない。
俺の意思を無視したがる、別の生き物だ。
立つべき時には立たずに、
立たなくていい時に立ちやがる。」
「……立つべき時って?」
「貴族の相手をする時、だな。」
「え、それマズイよね?」
エルヴィンとリヴァイが
金を持った貴族や商人の集まる
パーティーに行って
兵団の資金を調達するために、
たまに貴族を抱いているのは知っている。
勿論、それがいいことだなんて思わない。
それでもそこまでしないと、
兵団の資金が足りないのが事実だ。
……それに、当時の二人は、
それはそれで楽しんでいたようだし。