第53章 誘惑の仕方
「……お前今、前一緒に
風呂入った時のこと考えてただろ。」
「え、何で分かったの?」
「手の動きがいやらしい。」
端的に回答され、
思わず手の動きを止めた。
「……そんなつもりはなかったんですが。」
「背筋だけで興奮してどうすんだよ。」
「……まぁ、これだけ良い筋肉見て
興奮しない女子なんていないんじゃない?」
もう誤魔化すのは面倒だから開き直る。
今日は何だかこのパターンが多い。
きっと、誤魔化したとしても
エルヴィンやリヴァイには
どうせ最終的に見透かされる。
それなら最初から正直に話した方が
楽だと思ってしまうようになっていた。
「女はよくわかんねぇな。」
「うん。でも意外と単純な生き物ですから。」
勿論、すごく面倒で厄介な生き物でもあるけど。
そう付け加えつつ、
泡を首筋、左腕、と滑らせた。