第50章 大好きだから、
「……団長と兵長を庇う訳じゃないけど、
もし俺も調査に出てたら、きっとこんな
余裕ぶってられなかったけどね。」
「調査後って、そんなに性欲旺盛になるの?」
「うーん……というか、実感したくなる。」
「何を?」
「自分が今、ここにいることを。」
その言葉を聞き、いつだったか
リヴァイと話したことを思い出す。
“生を感じるために、身体を重ねる”
流されるままに
身体を許していた自分にとって、
それは考えもしたことのない事実だった。
「やっぱり不安になる。
人の死を見過ぎると、
自分が生きていることが不思議になるし、
それが当たり前ではないことに気付くから。」
「……そっか。」
返す言葉が見つからず、
思わずモブリットの胸元に顔を埋める。
もう自分には入れない領域の話だと思った。
これは本当に、実際巨人と
戦ったことのある人にしか分からない。
そうだろうね、そうなるよね、
なんて軽い返事は出来ないし、
分かったフリだって無理だ。