第50章 大好きだから、
団長に言われた通り、
彼の死は俺のせいではない。
彼が果敢に戦いに臨んだのは、
俺の為ではない。
自分が彼を殺した訳ではない。
分かってる。分かっているけど、
もし、あの時自分が怪我をしなければ。
もっと周りに注意を払って行動していれば。
いや、むしろ彼に積み荷を任せなければ。
俺が彼と関わることがなければ。
そんなところまで巻き戻して
考えてしまうほど、
心の奥底で後悔の感情ばかりが渦巻いていた。
いつもそうだ。
調査に出て、仲間が死ぬ度、
他の部隊に所属していたら
死ななかったかも知れない、
もっと他の作戦を
提案することができていれば、
こんな悲惨な死を遂げることは
なかったかも知れない。
“たら”と“れば”が
脳内を支配してしまうくらい考えてしまう。
だがそれは、きっとみんな同じだろう。
ハンジ分隊長も、仲間が死ぬ度、
同じようなことを考え、
もう後悔することのないようにと、
いつも先鋭的な作戦を練っている。
団長や、兵長、
他の分隊長もきっと同じだ。
……だから今、こうして自分だけが
凛の温もりを感じている事実が、
ズルい気もしていた。