第50章 大好きだから、
「……こんな時間に男の部屋に行くなんて、
って言われなかった?」
「言われた。」
「それなのに来たの?」
「……なんかもう、じっとしていられなくて。
今すぐ行かなきゃって。」
本当に、心から嬉しいと感じた。
こんなに喜びを感じたのなんて
いつ振りだろう。
凛が自分だけを想ってくれる日なんて、
まず来ないだろうけど
それでも今、こうして
ここに来てくれたことが嬉しくて、
湧き上がる幸福感が心拍数を上げる。
……でも、凛をここに
留めておくことは出来ないだろう。
「ありがとう。
来てくれて本当に嬉しかった。」
それだけ言って凛を離す。
心配そうな表情が視界に飛び込み、
反射的に頭を撫でた。