第49章 一番長く、苦しい夜を
報告書に目を通し、すぐに閉じる。
「……彼、亡くなったんだね。」
「……ああ。」
エルヴィンの声が耳元で聞こえ、
毛布の温もりが身体を包み込んだ。
「自分に怪我をさせてしまったことで
責任感を覚えて、果敢に戦いに挑み、
戦死したと思ってしまうと苦しいだろう。」
「……そうだね。」
「多分、モブリットのことだから、
気に掛けているだろう。
今日も声は掛けたが、明日もう一度」
「ちょっと、行ってくる。」
エルヴィンの言葉を待つ時間さえ、
勿体ないと感じた。
ベッド脇に脱ぎ散らかした服を
急いで着始めると、
エルヴィンに腕を掴まれる。
「何処へ行く気だ?」
「モブリットの部屋。」
「こんな時間にか?」
「今じゃないと、意味ないよ。」
「……君は、
この時間に男の部屋に行く意味が
分からない訳ではないよな?」
掴まれた腕に、
ますます力が加わったのが感じ取れた。