第44章 優先順位
深いキスは、留まることを知らず、
舌全体で口内を舐め回される。
熱を感じずにはいられないキスだが、
身体が疼くより先に、
少し恐ろしいという感情まで芽生える。
そのまま食われてしまうのではないか、
と思ってしまう程、唇を貪られ、
息を吸うことも吐くこともままならぬまま、
その場に押し倒され、床に倒れ込んだ。
「はぁっ……、エルヴィン、」
「……ダメだな。
こんなことをするつもりじゃなかったんだが。」
そう言ったエルヴィンの、
あまりに辛そうな表情に
思わず頬に手を伸ばす。
「……すまない。痛くなかったか?」
「大丈夫。それよりエルヴィンが」
「いや、俺はいいんだ。」
端的に言葉を遮られ、手を引かれ、
強制的に起き上がらされる。