第44章 優先順位
団長室をノックする。
応答がない。
……もしかしていないのか?
「……エルヴィン団長、凛で」
そこまで言いかけたところで、
突然ドアが開き、
勢いよく室内へ引っ張り込まれた。
「……エルヴィン?」
「……よくこのタイミングで、
この部屋に来ようと思ったね。」
「ハンジにこの紙を
渡して欲しいって頼まれて。」
エルヴィンは紙を受け取り、
一瞬中を凝視した後、フッと息を吐く。
「なるほど。粋な気遣いだ。」
引き寄せてきた手に、
かなりの力が入っているのが分かる。
痛いかも知れない、と思った時には
唇は、咥え込まれていた。