第44章 優先順位
「これ、襲われる前提で
団長室に持って行ってきて。」
耳元でそう言われ、
反射的に背筋が伸びる。
「……なに、襲われる前提って。」
「調査後って、
大体みんな荒れてるから。
今回は被害こそ少ない方だったけど、
エルヴィンは納得してないと思うしね。」
私も、被害が0にならない限り、
納得はできないけど。
そう呟くように付け加え、
背中を押されたことで、
自然に身体が前へ進む。
「今のエルヴィンと
まともに取り合えるのは、
多分凛くらいじゃないかな。」
じゃぁ、よろしく!と、
颯爽と走り去っていくハンジの背中を
唖然と見送った後、団長室へ急いだ。