第44章 優先順位
昼時を少し過ぎたころ、
調査兵団は基地に戻ってきた。
前回の記録より
被害は少なくなっているようだったが、
少し目を通しただけでも分かる、
目を瞑りたくなるような事実が、
記録には記されていた。
モブリットにあらかじめ指示されていた通り、
怪我人の手当を最優先に行う。
医師にも限りがあるので、
軽傷の兵士は、勉強していたことに忠実に、
自分で治療を進めた。
日が落ちかけ、
怪我人の処置もだいぶ落ち着いてきた頃。
後ろから突然抱き着かれ、
思わず前に倒れ込んだ。
「凛!ごめん!
そんな吹っ飛ぶと思ってなかった!!」
「ハンジ……おかえり。」
顔には細かい擦り傷や、
泥汚れが付いているが、
見たところ極めて元気なハンジを目にし、
安堵のため息が漏れる。
「やっと落ち着いてきたみたいだね。」
「うん。まだ重症人は
治療中だから分からないけど……」
「お疲れさま。」
で、お疲れのところ悪いんだけど、
そう続けたハンジは、
二つ折りにされた一枚の紙を手渡してきた。