第40章 好きの種類
「……どうしたの?」
「いや。ここら辺も
まだ完全に安心できる場所じゃないから。」
なるべく目立たない様に歩く方がいいよ。
と、付け加える前に、
スッと腕を組まれて言葉を飲み込む。
ただ身を預けられるのではなく、
こっちが支えられているような、
そんな腕の組み方だった。
「怪我してるのに、
そんな心配までさせてごめんね。」
結構酔いは回っている筈なのに、
冷静に怪我の心配までしてくれて、
やっぱり酔っていても
凛は凛のままだ。
そう思うと少し心の奥が温かくなる。
……が、組まれている腕に
胸が当たる感覚は頂けない。
いくらこっちも
多少酒が入っているからと言って、
色々と反応しない訳ではない。