第40章 好きの種類
「凄い魅力的な提案だけど、
それについてはモブリットの許可がないと
快諾できないんだよね。」
「……え、自分ですか?」
「おい。副長。いいだろ?」
良いと言わないと、
ますますお前が凛を好きなことに関して
疑わしくなるぞ。
とでも言いたげな視線をぶつけられ、
モブリットは
「……凛が手伝いたいと思うなら
止めはしないよ。」
と、つい渋々な声で返事をした。
「手伝いたい、というか、
憲兵団を見てみたいのはある。
書類も手伝えるなら
尚更色々分かりそうだし。」
「お前が資金調達に繋げそうな書類は
渡さねぇけどな。」
「まだ前の会議のことを根に持ってるの?
あれは正当な資金削減だったんだから」
「うるせぇなぁ。
とにかく、副長の許可が出たんだ。
明日から来い。」
「明日から?!……ですか?」
思わず素っ頓狂な声が出たことに
自分でも驚き、
モブリットはスッと声のトーンを落とす。
「いや、ほんといきなりだね。」
「仕方ねぇだろ。
こっちも今忙しい時期なんだ。」
……やはりこの人は
要注意人物かもしれない。
忙しいと言いつつも
表情は緩んでいる師団長を見ながら、
モブリットは平静を装うための酒を口に含んだ。