第40章 好きの種類
「何の話してたの?」
個室に戻ってきた凛は、
そう問いかけながらナイルの隣に座る。
「ああ。
お前を憲兵に引き抜こうと思ってな。」
「それは無理です!」
モブリットの声を上げた即答に、
ナイルは思わず吹き出した。
「なんだよ。さっきの今でそれか?」
「え、なに?どういうこと?」
「……何でもないよ。」
モブリットは凛の視線から
逃げる様に目を逸らした。
「凛。憲兵団に入る気はないのか?」
「ないよ。」
「二人揃って即答してんじゃねぇよ。」
「いやいや、ナイルだって
そんなこと分かってるでしょ?」
「それなら、調査兵団が
壁外調査に行ってる間だけでいいから
こっちの仕事を手伝うのはどうだ?」
「……それ、私にメリットある?」
「給与はそっちと比べ物にならない額を
出せる自信がある。
それに他兵団視察とでも思えば
お前に利点は多いんじゃないのか?」
凛はナイルの話を真剣に聞いていたが、
すぐにモブリットに視線を移した。