第36章 熱の行方
「……いや、ほんと、すごい拒否するよね。」
「……当たり前だ。
凛、この間も言ったが、
調査前にはしない。
ましてや調査前日に」
「“調査前には”じゃないでしょ?」
いきなり的を射たことを言われ、
発言を止めた。
「もう私を抱く気はない?」
核心をつく問いに対する返答に困り、口籠る。
「それはもう私の身体には飽きて、
興味がなくなったって事?」
「……そんな訳ないだろう……」
そうだ、と言ってしまえばいいが、
そんなすぐばれるような嘘が吐ける筈もなく、
思わず顔を伏せた。
「うん。
きっとそれはないと思ってた。」
凛はそれだけ言って満足気に笑うと、
エルヴィンの下半身に触れる。
「なっ、」
「だよね。キスだけで反応してるもんね。」
本当にさっきから何なんだ。
これは新手の拷問か。
下半身に置かれた凛の手を
すぐさま握り、遠ざけた。