第36章 熱の行方
「エルヴィン、
意外と分かり易くなって来たよね。」
「……これは何を言っても
ダメな状況だな。」
観念していい訳はやめる。
もう凛に言葉で丸め込むことは
通用しそうにない。
「エルヴィンは
帰って欲しいと思ってても、
私は今日、帰るつもりないんだよね。」
もしや、と思った時には、
既に反応は間に合わず、
瞬間的に唇を奪われ、
勢いよくソファーの背もたれに
背中を押しつけた。
……今回は間違いなく、確信犯だ。
そう思いながら
凛を引き離そうとするが、
唇を何度かわしても、
今回はしつこいくらいに付き纏ってくる。
だがこっちの理性にも
さすがに限度がある。
ましてや調査前日の
この時間帯に来られて、
強硬手段に出られて、
拒否しろ、だなんて、どんな拷問だ。
もう諦めて凛を抱いてしまえばいい。
ここまで自分を求めてくれているんだから、
受け入れなければ罰が当たる。
そんなことを自分の脳内の
勝手な天使が喋っているようで、
呆れた笑みが零れそうになった。