第36章 熱の行方
「……凛。君一人か?」
「うん。」
全く悪びれない様子で
部屋に入って来た凛は
三人掛けのソファーに座っている
エルヴィンの横に座る。
「……何の話が?」
「いや、特に話はないんだけど。」
ないのか!ならもう帰ってくれ!
……とは言える筈もない。
だが、この悶々としていた時間に
来られるのは本当に困る。
しかも何故凛は俺の隣に座ったのか。
普通、話をする態で来たなら
正面に座るだろう……
調査前に一度
拒否したことがあった以上、
さすがにもう誘ってくることはない筈だ。
凛の行動の意図が掴めず、
困惑しかない。
「今、もう帰って欲しいって
思ってるでしょ?」
正に考えていたことを言い当てられ、
一瞬の間が開く。
「そんなこと思わないよ。」
しまったと、思いすぐ口を開くが、
その間は凛にとっても
察しがつくものだったらしく、
盛大に吹き出す姿が目に映った。