第36章 熱の行方
……身体の熱が有り余っている。
エルヴィンは一人になった部屋で
大きく深いため息を吐く。
調査前は大体後腐れの無い
娼婦を抱いていた。
そこで同じような考えだった
リヴァイと鉢合わせて、
なんとなく気まずい雰囲気に
なったこともある。
街で声を掛けるのは役職のこともあり
色々な意味でリスクもある為、
接待のパーティーで貴族の女性を誘う以外は
口の堅い娼婦で手を打つのが
幹部では一般的な性欲の解消法だ。
……だが、
今回はそんな気にすらなれない。
きっとリヴァイも同じだろう。
それでもリヴァイと自分が違うのは、
凛を抱いているか抱いていないかだ。
こんなに悶々として過ごしているのは
自分だけだろう。
……仕方ない。
一人でぬいてやりすごすか。
エルヴィンはドアに向かい、
部屋の鍵を閉めようとしたその時、
「エルヴィン団長。少々お話が。」
と、かしこまった凛の声が聞こえ、
手を止める。
凛が俺を団長と呼ぶときは、
大体誰か団員といる時だ。
……それなら部屋に入れても
問題ないだろう。
エルヴィンは一旦ソファーに戻ると、
「入ってくれ」と返事をし、
ドアが開くのを待った。