第5章 モブリットの情動
「凛さんがその気になったら
誘ってください。」
自分には珍しく、
少し冗談めかしたことを言ってみると、
凛さんの頬はますます緩み、
その様子は自分の身体を少し熱くさせた。
「分かった。」
表情を緩めたままそれだけ言った凛さんは、
ゆっくり目を閉じる。
彼女が安心して眠れるように、
今はそっと見守るべきだ。
……それでもどうしても
抑えきれない衝動があり、
凛さんの髪をそっと撫でる。
凛さんは目を瞑ったまま動きはなく、
もう微睡の中にいることを察する。
柔らかい髪を撫でながら、
団長の顔が綻んだ理由が
分かった気がして、思わず頬が緩んだ。