第1章 それからの日々
「……そうですね。
最終的には、これを丸暗記してもらうことに
なると思います。」
モブリットは柔らかい表情を
浮かべたままそう言った後、
「実はつい先日、長距離索敵陣形について
凛さんが纏めた考察を
エルヴィン団長に読んで頂いたんですが、
それにすごく感心されていて。
凛さんの柔軟な発想や斬新な考え方が
この兵団には必要だと
団長は思われたんだと思います。」
と、真摯な瞳で凛を見入った。
「……それって、
ちょっとくらい私も役に立てそう
ってことかな……?」
「ちょっとどころじゃないですよ。
今も凛さんの考察を元に、
陣形を考え直す会議だって
行われていますからね。」
モブリットの少し興奮したような
力強い声を聞き、
フッと肩の力が抜け、小さく息が漏れた。