第32章 エルヴィンの感情
エルヴィンは凛の唇を優しく、
丁寧に愛撫する。
久し振りに重なった唇は
以前と変わらず柔らかく心地いい。
テーブルに置かれた凛の手を取り、
指を絡める。
小さく反応した指先は
すぐに自分を求めるかのように絡まってきた。
……だが、それでも全く足りない。
もっと深く近付きたい。
まずはこのテーブルが邪魔だ。
叩き割って排除し、
凛を強く抱きしめたい。
そうしているうちに濃厚に舌を絡め、
嬌声を漏らす凛を押し倒したい。
強引に身体を弄り、何も考えず、
ただひたすら深く交わりたい。
そのついでに書類も全て放棄しよう。
きっと何もかも、
どうでも良くなるだろう。
……いや、それでは駄目なんだ。
エルヴィンは凛から唇を離すと、
自分の感情を悟られない様に
一瞬だけ目を伏せ、
すぐに凛と視線を合わせた。