第32章 エルヴィンの感情
突然変なお願いをしたからだろう。
エルヴィンの動きが止まる。
自分でもとんでもないお願いをしてしまったと
言い終わった後に後悔した。
でも、自然と口から
零れ落ちてしまった一言だった。
防ぎようがなかったんです。
心の中で言い訳する。
と同時に、
「ごめん。
仕事中に不謹慎なことを言いました……
忘れて下さい……」
そう言って丁寧に頭を下げた。
下げた頭を温かい手に撫でられる。
「本当に君は……
そんなことを言われて
断れる訳がないじゃないか。」
そっとエルヴィンの顔を見ると、
困っているように笑っていた。
「……ごめんなさい。
自分でも大胆なことを言ってしまったと
言い切った後に思いました。」
「謝らないでいい。それより、」
エルヴィンはまだ上がりきらない
凛の顎元を引き寄せ、
「もう我慢できないんだ。
こっちからキスしていいか?」
そう言って早々に唇を重ねた。