第31章 それぞれの感情
「そうだろうな。
精神的にも肉体的にも
満たしてもらってるんだろうってことは
見てて分かるよ。」
「なんだ。今日は下世話な話も
振って来るじゃないか。」
「調査前だからだろうな。
余計な話も聞きたくなる。」
ミケがそう言って鼻で笑うのを、
エルヴィンは横目で見ると
楽しそうに肩を揺らした。
「ミケも変わったよ。
お前はそんなプライベートな質問を
俺に振ってくるような奴じゃなかった。」
「そうだった………かもな。」
曖昧な答え方をするミケだったが、
心当たりはあるようで
エルヴィンに釣られたように笑い出す。
「だがここでお前と凛の
情事について聞いてしまうと、
次凛に会った時、
ついからかいたくなるからな。」
「それは困る。
だが、からかいたくなる気持ちは
分からないでもないよ。」
そう言ったエルヴィンの穏やかな表情に、
ミケの頬も自然と緩んだ。