第5章 モブリットの情動
「でもそういう欲があるのは
悪いことじゃないでしょ。
そもそも私が勘違いさせるような
言い方したのに問題があるし。」
何処か楽しげにも聞こえる
凛さんの声に耳を傾けながら、
だいぶ熱が治まって来た顔を上げる。
「でも、団長の確信に背くようなことを
考えてしまったこと自体、大問題ですよ……」
「そうかな……
まぁ相当驚く気はするけど、
安心もすると思う。」
「安心…??」
凛さんの言葉の意味がよく分からず、
細い声で聞き返した。
「うん。エルヴィンは多分、
人間らしい人が好きだから。」
「……人間らしい人……ですか?」
「色んな欲や喜怒哀楽があって、
それを行動や表情に出せる人のことを
少なからず羨ましいと思ってる気がする。」