第5章 モブリットの情動
「……すみません。
もう、ほんと……自分が恥ずかしいです……」
「いや、ちょっと安心したよ。
モブリットが人間らしい感情を
持ってることが分かって。」
顔は伏せたままで、
少し冗談めかした口調で話す凛さんを
垣間見る。
「モブリットはそういう欲が
ない人なのかと思ってた。」
「……俺だけが、凛さんの部屋で
二人きりになることを
団長から許されてるから……ですか……?」
「そう。よく分かったね。
エルヴィンは警戒心が異常に強いから、
少しでも私に手を出しそうな相手なら、
絶対二人きりになんて
させないだろうと思って。」
凛さんの発言を聞いて、
団長からの信頼を裏切ってしまった気分になり
ますます気分が落ち込み、
思わずため息が漏れた。