第30章 女慣れした新たな仲間
「お前、新人か?」
自分では、いかにもベテラン調査兵です、
という佇まいをしていたつもりだったが、
1人の調査兵にそう声を掛けられ、
自分の演技力はさほどのものではなく、
その上調査兵は
意外と兵員の顔を覚えていることを
思い知らされる。
「あ、はい。最近入団しました。」
返し方はこれで間違っていない筈だ。
が、詮索されると困る。
少し忙しそうに
メモを取るふりをすることにする。
「最近?この時期に入団ってことは
元々駐屯兵だった、とかか?」
その調査兵は、
こっちのフリなどお構いなしに
眉間に皺を寄せて質問を続けてきた。
「ああ……えーっと、そんな感じです。」
「そんな感じ?
どういうことだ?違うのか?」
「あ、いえ。そうです。」
嘘は吐きたくなかったが仕方ない。
ここで自分の身柄を説明するのは骨が折れる。
それにますます警戒されることは
間違いないだろう。
取り敢えずの返答をした。