第30章 女慣れした新たな仲間
「そんなに見たいなら、見に行くべきだね。」
訓練を見学してみたいけど
エルヴィンとリヴァイが嫌がっている、と、
ハンジにポツリと溢した時、
ハンジはそう言って凛の葛藤を一蹴した。
「私もこれで変装して、夜中にこっそり、
捕まえた巨人に会いに行ってたよ。」
思わず頬を緩ませるハンジは、
まぁもうモブリットにバレちゃったから
使えないんだけど、と付け足してから、
そのウイッグを貸してくれたのだった。
バレる気がしない。
その一言に尽きる。
自室でウイッグを装着した姿を
初めて鏡で見た時は
あまりの似合わなさに苦笑してしまったが、
色々試行錯誤を繰り返した結果、
どうにか自分に似合った付け方を習得した。
調査兵団には金髪の女性も少なくなかった。
むしろ今の自分の地毛のような、
黒い髪をした兵員の方が珍しい。
これで調査兵に溶け込める。
その事実は自分をやたら高揚させた。
「この辺に居たら見えるのかな……」
模型がある位置よりはだいぶ離れているが、
周りには休憩中であろうと思われる兵員が
数人いる。
ここで二人の様子を窺うことにしよう。