第29章 依存
エルヴィンは部屋に入るなり、
小さく息を吸い込む。
ミケの部屋は廊下より少し暑く、
湿度の高さも感じ取れる。
中で“何か”が行われていたであろうということは
容易に察しがついた。
そして、ミケのベッドで横たわる
凛の姿を直視し、
図らずもため息が漏れ出した。
他の兵員のものより大きめに作られた
長身のミケに合わせたサイズ感のベッドは
凛が寝ていることにより
ますます大きさが際立つ。
「ああ、凛か。
疲れが溜まっていたんだろうな。
ついさっき、突然糸が切れたように
ベッド倒れ込んで眠ったよ。」
「疲れがたまっていた?
ここで疲れが溜まったの間違いじゃねぇのか?」
リヴァイに対しては
いつも口が悪いと忠告している立場だったが、
こればかりは同意だ。
今の凛の疲れは、
仕事に対するものだけじゃないだろう。
胸の奥からふつふつと何かが
湧き上がってくるような気配がして、
それを抑えるかのようにそっと目を瞑る。