第5章 モブリットの情動
「あの……
これで本当に眠れるんですか……?」
「うん。寝られると思う。」
笑顔でベッドに寝転ぶ凛に、
モブリットは机の前の椅子に
座った状態で目を向ける。
予想していたこととまるで違うことを提案され、
自分が相当図々しい予測を
していたことに気付き、
自分で自分の頭を力任せに殴りたくなる……
……団長や兵長が想っている相手に、
俺は何をしようとしていたんだ……!
色んな意味で理性が強いのだけが
取り柄だった筈が、
いとも簡単に理性が崩壊しかけた事実は
完全にその取り柄に対する自信を失わせた。
「モブリットがそこで資料纏めるの
見てたら、多分眠くなる。」
「それなら良いんですが……」
モブリットは自分に激しく失望しつつ
机の上の資料を開く。
すると、布団の中から
凛の手が伸びて、服の裾を掴まれ
再び凛に視線を向けた。