第29章 依存
その頃、ハンジは一人廊下を歩いていた。
「あっれー、おかしいなぁ。
モブリットー!!」
いつもこの時間には……
いや、常にモブリットは
自分の側にいる訳だけれど、
今日は昼前から見当たらない。
「どこ行ったんだろう。」
ため息混じりに呟く。
いつもは鬱陶しくなるくらい自分の側にいて
行動を監視・管理されているから、
今日みたいに何にも縛られることのない
自由な時間が持てるのは、
嬉しいことなはずなのに。
いざ急に1人にされてしまうと、
言葉では言い表せない困惑で
ついこうしてモブリットを探してしまう
自分がいた。
「ダメだなぁ……」
どうやら私もモブリットに
少々依存してしまっているらしい。
つい眉間に眉が寄ってしまい、
意識して表情を作りながら
出来る限りゆっくり廊下を歩く。