第28章 互いの要件
「憲兵か……
トータル的に見れば調査兵団であるミケに
勝ち目はないな。」
「薄情な女だ。
まぁそんな簡単に心変わりする女との縁なんて、
早めに切れて正解だったろ。」
「確かにな。
ミケにはもっといい女が現れる……」
エルヴィンはそこまで言ったところで、
床を蹴るようにして勢いよく立ち上がった。
「ミケに、その“いい女”が凛だと
錯覚されたら困るじゃないか。」
「錯覚じゃなく凛はいい女だろ。」
「そういうことを言ってるんじゃない。
ミケにとっての“いい女”として、
凛は相応しくないってことだ。」
「それはこっちの都合だがな。」
「その通りだ。
……だがリヴァイ、
ミケもライバルになるのはどうなんだ?」
「……好ましくはねぇな。」
リヴァイは小さくため息を吐いた後、
頼りない足取りで立ち上がった。