第28章 互いの要件
「なんだ、ナイル。来てたのか。」
ドアを開けて入ってきたリヴァイを見て、
ナイルはあからさまに
怪訝そうな表情を浮かべる。
「エルヴィン。
次の調査で新しい作戦を試してみたいんだが。」
リヴァイはそんなナイルを
一瞥もしないうちに話を始めた。
「ああ、この間話していたやつだな。
詳しく聞こう。」
「……俺はお邪魔みたいだな。
そろそろ基地に戻る。」
エルヴィンが引き出しから書類を取り出し、
立ち上がったのとほぼ同じタイミングで
ナイルは踵を返した。
エルヴィンはナイルの後ろ姿を見つめながら、
「悪いな。
さっきのことについては、
また飲みに行った時にでも話そう。」
と、少し声を張って声をかける。
「……“また”?
いつの話を言ってんだ……
訓練兵団を卒隊してから
お前と飲みに行ったことはねぇよ。」
ナイルはエルヴィンに背中を向けたまま、
呆れたようにも寂しそうにも
聞こえる声色でそう言ってすぐ、
部屋を出て行った。