第28章 互いの要件
「俺がお前と凛の間を
取り持つとでも言えば、
お前は俺に本音を話したのか?」
「凛と俺の間をお前が取り持つ、か。」
そう言った直後、
突然笑い出したエルヴィンを見て
「何だ!俺にそんなことは出来ないって
言いたいのか?!」
と、ナイルは若干声を荒げる。
「すまない。
ナイルの口からそんな言葉が
聞けるなんて思わなかったんだ。」
「……俺はお前の幸せを
願ってない訳じゃないからな。」
「頼もしい限りだよ。
だが、俺の幸せを願ってくれるなら
仕事でも協力的になって欲しいんだがな。」
「茶化すなよ!
こっちは真面目にお前の心配を」
ナイルがそう言いかけた時、
部屋のドアをノックする音が
二人の耳に届いた。