第5章 モブリットの情動
「……それでももし、団長や兵長に
相談しにくいことなら、
俺で良ければいつでも聞きますから。」
付け足すようにそれだけ言って、
咄嗟に掴んでしまっていた
凛さんの腕から手を離す。
「すいません……
早朝から部屋に押し入ったのは俺なのに、
なんだか説教染みたことを言ってしまって……」
まさにそれだ。
自分の言った言葉に深く賛同する。
まずそれを深く謝るべきだ。
それなのに、厚かましく差し出がましい発言を
どれだけ連発してるんだ……
いつも分隊長を抑制している筈の自分が、
ここまで抑えの利かない人間だったことに、
落胆せずにはいられない。
情けない思いで、
肩を落としそうになったその時。
手に暖かい感触が伝わり、顔を上げた。