第5章 モブリットの情動
「凛さんは周囲に
迷惑を掛けたくないと思って、
そう言っているのかも知れませんが……
その方が迷惑を掛ける原因になると思います。」
女性相手に、かなりキツイ言い方を
してしまったかも知れないな……
でも、後戻りできない状況に
持っていったのは自分だ。
この際だから自分の考えを、
包み隠さず言うしかない。
「凛さんの気持ちも
分からないこともないですが、
ここは誰かに甘えてみる選択をするのも
思いやりの一つだと思うんです。」
さっきと明らかに表情が
変わった凛さんを見ながら、話を続ける。
「団長や兵長は、……いや……、
俺を含め、凛さんと関わっている人間は
凛さんが“迷惑を掛ける”
と思っていることを、迷惑だなんて思いません。
むしろ、頼られることを嬉しいと感じますよ。」
……一体俺は何を口走ってるんだ。
フォローするつもりが、
いつの間にかすごくクサいセリフを
吐いている気がする。
急に恥ずかしくなってきて、
凛さんから目を逸らした。