第28章 互いの要件
「だが、まさかお前にそんな大胆な行動が
出来るようなっていたとはな……
腹立たしいのを通り越して、
感心してしまいそうになったよ。」
「ま、待て、エルヴィン。誤解だ!
確かにホテルには入ったが、
本当に何もしてない!」
「ほう……
それなら“ナニ”をしていたんだ?」
エルヴィンはジリジリと
ナイルとの距離を詰めていく。
……もう無理だ……
この顔は本気だ。
この作り過ぎて引き攣ることも
なくなってしまった笑顔のエルヴィンに
もう何を言っても無駄だ……
ナイルは反論することをやめ、
詰められた距離を保ちつつ
小さく息を吐いた。