第27章 避けられない相手
「……なら、こんな風に
触られたことはあったのか?」
頬に触れていたミケの手は
ゆっくり首筋まで移動して、
意図せずとも身体が少し跳ねた。
「お前の世界にいた俺は、
こうしてお前を撫でることがあったか?」
ミケの手付きは、
優しさはともかく卑猥さも感じられて
触れられた部分が
いとも簡単に熱を帯びていく。
御食と身体を重ねることは何度もあったけど、
こうして見つめられながら
じっくり首筋を撫でられるなんて
そんなことをされた記憶はない。
……これはきっとからかわれてる。
さっきの私の反応で、
ミケは何かを感じ取ったのだろう。
ミケもエルヴィンと同じように、
女を手玉に取るのが上手い部類に
入る人間なのかも知れない……
何せこの世界の人は
何かと勘が冴えている人が多いし、
私の心の内なんてきっとダダ漏れなんだろう。