第27章 避けられない相手
何の前触れもなく
触れられたことにも驚いたが、
それ以上にこの温もりが
御食と全く同じものだったことに驚いて
身体が硬直する。
「そうか。大体分かった。」
頬に当てられた手からミケの体温が
じわじわと身体全体に伝わり、
見つめられた瞳から目が離せなくなる。
「そっちの世界の俺に似た男は、
どんな感じの奴だったんだ?」
「ど、どんな感じっていうと……?」
「お前に優しくはなかったのか?」
「……優しかった。」
「怒って手を上げられたことは?」
「まさか。
手を上げられたことも怒られたこともない。
すごく穏やかな人だったから。」
ミケの質問の意図が分からないまま、
一問一答を繰り返す。