第27章 避けられない相手
若干重い足取りで廊下を歩き、
最上階の角部屋をノックする。
「早朝からすみません。凛です。
団長から書類を預かったので
持ってきました。」
部屋のドアが開くまでに少し時間があり、
その間、近くの窓から空を見上げる。
空は快晴で雲ひとつない。
仕事の前に急いで干した洗濯物は
昼前にでも乾きそうだ。
だけどそんな空とは裏腹に
自分の心は薄い雲がかかっていた。
「すまない、待たせたな。入ってくれ。」
ドアを開けたミケに顎で部屋の中を示され、
部屋に入る。
書類を渡して少し説明をするだけだったから
部屋に入るまでもないと思っていたけど、
これもいい機会だということだろう……
ミケも私の不自然さに気付いているなら尚更、
いつまでも避けている訳にはいかない。
「失礼します。」
殺風景な部屋の真ん中に設置された
テーブルの前で
ミケと向き合う形で席に着いた。