第26章 本当の望み
暫くの沈黙の後。
「……私が今から話すこと、
誰にも言わないでもらえますか?」
一気に真剣な声色に変化した凛の声を聞き、
一瞬身体が強張る。
「分かった。約束する。」
出来るだけ間を置かず了承すると、
凛はゆっくり話し始めた。
「エルヴィン……、団長と
リヴァイ兵長は、私の命の恩人なんです。
二人に出会わなければ、
私は既に死んでいたと思います。」
若くてそれなりに美人な女が
死を覚悟する理由なんて
自分には思いつきそうもないが、
凛の表情を見る限り、
それは嘘ではなさそうだった。
こいつは本当に地下街出身で、
生死の境を綱渡りするような生活を
送っていたのかも知れない。